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公正証書遺言の作り方

 A 公正証書遺言と自筆証書遺言の良い点、悪い点。
 B 公正証書遺言
の作り方
 C 
自筆証書遺言の作り方
 D 
公正証書遺言・自筆証書遺言の費 用について
 E 
遺言書についてのよくある質問から

 A 公正証書遺言と自筆証書遺言の良い点、悪い点。
(1)遺言には大きくわけて普通方式と特別様式の二つにわけられます。

※特別様式とはまさに、特別な場合の遺言で臨終遺言、船舶隔絶地遺言といった本当に特 別の場合です。

普通方式は、遺言をするにあたっての時間が十分にある場合に残すもので、 これは三つに分けられます。
自筆証書遺言、公正証書遺言そして秘密証書遺言ですが、実際には自筆証書遺言 と公正証書遺言がほとんどですので、この三つの特徴については下記の表1を参 照していただき、ここでは特に自筆証書遺言と公正証書遺言について説明します。

 
表1
(遺言書の比較)

  証人・立会人の有無 遺言を実際に書く人 署名・押印 家庭裁判所の検認の有無
自筆証書遺言 不用 本人 本人 必要
公正証書遺言 必要
証人2人
公証人 本人・証人・公証人 不用
秘密証書遺言

公証人1人
証人2人に遺言を提出

本人(代筆も可能) 本人・証人・公証人 必要


よく「遺言書の書き方」として書店にも関連の書籍が並んでいます。
多くの方が遺言といえばこの自筆証書遺言の事を思い浮かべるのではないでしょうか。

ところが、この自筆証書遺言は「自筆」と言うだけあって、ワープロやパソコン、ビデオなどで残しては効力が無い 等、いろんな注意点はありますが、誰にも知られずに費用も一切かけずに作ることができる大きな良い点(メリット)があります。

遺言の種類によって法律で書き方が定めらていま す。

このメリットが、悪い点(デメリット)となる場合がたびたび起こります。例えば、自分で作成するので十分に調べないと 法律の要件に欠けて無効となる場合や内容が不明瞭であればその為にトラブルが生じる場合もあります。

また、遺言書そのものの、真偽を正すために筆跡鑑定を行なう場合も少なくありません。さらには遺言書が隠蔽・破損・内 容の書き換え等をされる可能性もあります。

その上、検認が必要となりますので、その場合は相続人全員が家庭裁判所へ行く事になります(必ず行く必要はありません)。この場合、遠方に住む親戚にとっ ては検認の為に実家へ戻る事となります。また、財産が貰えると期待して参加した場合、財産が無いとトラブルの元となるケースもあります。

(2)公正証書遺言  ※私たちが勧めたいのがこちらで す!

一番のメリットは内容が「公証」される点にあります。
法律的に確実で更に安心できるところです。。

二番目のメリットは遺言公正証書の原本は公証役場で保管さ れますので安心です。最近はコンピューターで管理されており、相続人である事が証明できれば全国どこの公証役場でも公正証書遺言の有無を検索してもらえ、 原本の内容を教えてもらう事もできます。その上、家庭裁判所での検認の手続きも必要ありません。

さらに不動産などの登記も公正証書遺言書があればすぐに出来ます。兄弟で遺産を分ける場合も公正証書遺言書があれば判 子も必要ありません。

とはいえ、ディメリットもあります。証人が二人必要なのと、費用がかかる点です。


(3)録画や録音による遺言(ご参考)

遺言としてビデオテープやカセットテープに残す方がいるようですが、残念ながらこう いった遺言は法律的には全く効果がありません。

必ず、自筆証書遺言、或いは公正証書遺言の形で残しておかなければ折角の遺言の意味をなし ません。

もっとも、法律的には意味はなくとも相続人に対しては意味を持つ場合があります。自分の思 いを自分の言葉として或いは映像として伝える事ができるわけですから、便利には違いないのです。

したがって、既に自筆証書遺言や公正証書遺言を作った後に、その補足説明として残されるの は価値があると思いますが、遺言の内容と全く同じ内容で残さなければかえってトラブルの元となりますし、つい余計な事を言ってしまいがちです。

私はどうしてもビデオなどを残す場合は多くを話すのではなく、「遺言書にしたがって仲 よく分けてください」の一言程度にとどめるようお願いしております。

  B 公正証書遺言の作り方
(1) 「公正証書遺言の しおり(日本公証人連合会)」からの抜粋
1) 実印と印鑑証明書
(これが無い場合は自分の写真がある運転免許書等)を用意
土地や建物がある場合は登記簿謄本・固定資産税評価証明を持参する。また預貯金等あれば、それが分かる書類一式を用意する。
2) 証人を2人決める
3) 公証役場へ出向き証人立会いの上で遺言の内容を公証人に話す
4) 公証人は話した内容に対し、法律的なアドバイスを与えながら 公正証書へ記載
5) 記載内容を公証人が遺言者と証人に読み聞かせる
6) 遺言者と証人が内容に間違いない事を確認して署名押印する
7) 公正証書遺言書が完成。原本は公証役場に保管され、正本と謄 本が交付される

(2) 公正証書遺言書の 注意点 
1) 秘密が漏れない か?

公正証書にこれまで説明したような効果は遺言者以外の公証人や証人の存在があるからです。
公証人は守秘義務があり安心ですが、証人はどうでしょうか?

公正証書遺言の作成に当たっては二名の証人が必ず必要です。
証人には遺言者の相続人、遺産をもらう人、さらにはこれらの配偶者や直系血族はなれません。そのため、通常は友人や少し遠い親戚がなる事になりますが、何 かのきっかけで話す場合も決して無いとは言えないでしょう。

信頼の置ける友人に頼むのが一番ですが、やはり、証人を誰にするかという問題は大きいでしょう。知り合いに行政書 士などがいれば、そういった方も守秘義務がありますので秘密は守られます(法律で守秘義務が定められているのです)が、そういった知り合いもいなければど うするか?

証人だけを行政書士等へ依頼するのも一つの方法ですが公証人に相談する事もできます。どこの公証役場でも依頼に応 じて信頼の出来る人を証人として紹介してくれます。謝礼金はまちまちのようですが1万円程度を見込んでいればいいのではないでしょうか。



2) 相続人に見られたら

公正証書遺言を作成すると原本は公証役場に保管されますが、正本は自分が保管することになります。ところが、 これが見つかると、しかも、特に見てほしくない相続人に見られると、その時点から大きな問題となるケースがあります。

原本は公証役場にあるのですから、正本を誰かに破られても、または紛失しても問題はないのですが、やはり見つかる とそれ以降、なんとなく気まずくなってしまいがちです。

まずは信頼の置ける人に証人になってもらい、絶対に見つからない場所に隠す事が大事となります。

ところで、遺言書の存在そのものは誰かに伝えておく必要があります。その場合は中身ではなく、「公正証書遺言をつ くっているから、万が一の時はどこの公証役場でもいいからそこへ問い合わせてね」と伝えておけばいいのです。それだけで実は十分なのです。

どこの公証役場で作った事がわからなくても、公正証書遺言であれば遺言検索システムで全国、どこの公証役場で作成 し保管されているかすぐに判明するからです。

これは意外と知られていないサービスですが、とても便利なものですから活用して欲しいと思います。

▼  お問い合わせ・事務所へのアクセスはコチラから

電話受付  午前9時30分から午後6時まで (火曜日を除く毎日)
営業時間  午前10時から午後8時まで    (火曜日を除く毎日)


 

 C 自筆証書遺言の作り方
中身としては公正証書遺言と同じです。

ご自身で全て記載する必要があります。
ただし、公正証書遺言と自筆証書遺言のメリットディメリットにありますように、「検認」という作業があります。



  D 自筆証書遺言・公正証書遺言の費用について

(1) 自筆証書遺言の場合

自筆証書遺言の作成は紙と筆記具があれば出来ますが、実際は書き方の本を購入する必要 があります。したがって、予算2000円もあればとりあえず完成と言えるでしょう。

ところが完成した後の費用が必要です。
保管はどこがいいでしょうか?もちろん、自分で保管されれば保管料は不要ですが、それでも万が一に備え、誰かに書いた事を伝える必要があります。

自筆証書遺言の場合、検認が必要となりますが、検認の申立書は収入印紙800円です。

ところがこの検認するまでが大変なのです。

遺言書発見から検認までの流れをみてみま しょう。


相続が開始(被相続人が死亡)後、遺言書を発見したら、相続人が直 ちに相続開始地の家庭裁判所に遺言書を提出して検認の申し立てをします。
家庭裁判所で検認申立ての手続き。
  【必要書類】
   ・遺言書検認申立書
   ・遺言書
   ・被相続人の戸籍謄本
   ・相続人全員の戸籍謄本
3 家庭裁判所より相続人全員と利害関係人へ検認期日の通知書が送付。
家庭裁判所による検認調書の作成。
検認後遺言書は、検認済証明書を付して申立人へ返還。

これだけの手続きが必要となります。普段、お仕事をされて いるような相続人の方にとって相続人全員の戸籍謄本などの必要書類を集めるのはそれだけで大変ではないでしょうか?
相続人全員が家庭裁判所へ集まる場合、遠方の方が参加する場合には交通費だけでも結構な金額となってしまいます。

被相続人の立場での節約が実は相続人とっては大きな出費となってしまう現実があります。相続人への負担を少しでも軽くしてあげるのも被相続人の務めではな いでしょうか。


(2) 公正証書遺言の場合

ところが公正証書遺言の場合は、こういった手続きを一切必 要とせずに直ぐに遺産分割が可能なのです。つまり自筆証書遺言のように相続人の方での発生する費用を抑える事ができます。
では公正証書遺言の費用をみてみます。

たとえば2,000万円の財産の場合。
1人に単独相続(配偶者に全額相続する場合など) 
手数料:23,000円+加算金:11,000円=合計34,000円

2人に相続 (配偶者とお子様1人に均等に相続する場合)
手数料:17,000円×2人=34,000円+加算金:11,000円=合計45,000円

※ 公証役場の費用詳細は公証役場のサイト(http://www.koshonin.gr.jp/index2.html) をご覧ください。

相続人が複数、たとえば2人いる場合、遺言書は1通であっても2つの法律行為があったと見ます。そのため上記の場合、 2,000万円を2人で均等に分けた1人分、1,000万円の相続が2つ生じたとして計算を行います。

なお、加算金は遺言書1通についての考え方なので11,000円は変わりません。

また、遺言書の正本、謄本を取るため、その費用が平均で3,000円程度かかります。(費用については事案によって変 わってきますので事前に公証役場で確認してください。)

この費用を自筆証書遺言の場合とで比較すると相続人に迷惑をかけない上に結果的には費用を少なくて済むのではと思います。

参考)

弁護士などの専門家へ依 頼した場合:
ところで遺言書の作成を弁護士へ依頼した場合はいくらかかるでしょうか?

手数料は
基本 300万円以下の部分      20万円
300万円をこえ3,000万円以下の部分  1%
3,000万円を超え3億円以下の部分  0.3%
3億を超える部分          0.1%

複雑又は特殊な事情がある場合は別途、協議により定める額を加算します。
(弁護士法及び日本弁護士連合会の報酬等基準規定 会規第20号に基づくものです)

たとえば相続財産が2,000万円の場合、弁護士へ依頼すると300万円までの20万円と300万円から 2,000万円までの1,700万円について1%である17万円を加え、合計37万円となります。
この費用の上に、さらに公証役場でかかる費用が必要となってきます。

つまり、配偶者一人の2,000万円の相続を行う遺言書を作成した場合、弁護士を介した場合では弁護士の手数料プラス 公証役場の費用とで、少なくとも40万円以上の費用が必要となってきます。ところがご自分で行えば3万5千円程度ですみます。十分の1の費用という事にな ります。

ただし同じ作業であっても弁護士へ依頼する場合と行政書士へ依頼する場合とでは費用に大きな差があります。

相続が複雑で訴訟にも発展しそうであれば、弁護士へ依頼するのも一つの方法ですが、そうでなければ、経験者や知り合い の行政書士などを利用したほうが確実に費用は安く済みます。

相続遺言プロ事務所では上記の場合、75,000円です。

これまで専門家への遺言書作成を躊躇された理由は実はこの手数料の金額だったのではないでしょうか。
ご自身で作成する場合、他の専門家の力も必要となる場合は公証人からアドバイスあると思いますので、その場合は公証人の指示に従えばいいと思います。

当然、その分の費用は必要となりますが、たとえば、未登記の土地等があれば、弁護士ではなく、土地家屋調査士へ相談さ れる等、誰に何を依頼すれば
よいかわからない場合等は安心だと思います。

ちなみに、そういった事を怠って相続が開始すると、費用や手続きの面でも一番困るのは相続人です。事前に行っておく事が必要です。

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遺言書のよくある質問から

痴呆の診断と遺言書 

痴呆の診断を受けても、遺言書を作ることはできますか?

物事に対する判断能力があれば、満15歳に達した人は全て遺言をすることが出来ます。
痴呆と言っても、その症状は人様々です。なので、痴呆と診断されても、遺言作成時に、その遺言がどのような意味をもつのか理解できる能力があれば、遺言書 を作ることが出来ます。ただ、亡くなられた後で、遺言能力について争われる場合もあるので、遺言者は医師の診断を受け、診断書を一緒に保管しておくなどすれば、安心だと思います。


遺言書の保管について

遺言書をこれから書こうと思いますが、保管方はどうすればいいでしょうか?

遺言書が紛失してしまったり、発見されなければ遺言者の意向がかなえられません。
保管には、紛失を避け、相続開始後早期に発見されるよう工夫が大切です。

自筆証書遺言は、承認を必要としない方式の遺言書なので、その存在が本人以外は解りにくいものです。遺言書の紛失や、相続開始後かなり時間が経ってから発 見されると、その前に市立した遺産分割が無効になってしまうこともあります。ですから、保管場所は、例えば、遺産について利害関係の無い、信頼できる第三 書に保管を委託したり、銀行の貸金庫に保管するなどして、紛失や隠匿を防ぎます、そして相続人には遺言書を作成したことを伝えておきます。伝える理由は、 遺言書の存在を明らかにし、発見の遅れを防ぐためです。そして、なるべく複数の相続人に伝えておけば、遺言書の存在を忘れたり、一人の相続人によって、破 棄、隠匿されるのを防ぐことが出来ます。

秘密証書遺言は、遺言書作成に証人が立ち会っているので、遺言書の存在自体が不明と言う事にはなりません。しかし、紛失、偽造などの危険に於いては、秘密 証書遺言も自筆証書遺言と変わりがないので、やはり、第三者に遺言の保管を委託したり、金庫に保管するといった工夫が必要と思います。

公正証書遺言の場合、公正証書遺言の原則として、公証役場に保管され、作成人は証人2名の立会を要するので、遺言書の紛失、偽造の恐れや、遺言書の存在自 体が不明になるという心配はありません。ですから、保管という点では一番安心できると思います。

ところで、最近、お客様の中で、信託銀行に保管料払って預かってもらっているという方がいました。それも結構な金額です。公正証書遺言を預かってもらって いるという事でしたので、「考え方次第ですが、公証役場と信託銀行の二カ所に保管する理由あるんですか?」と質問しました

「え!−−−−?」 その方は公正証書遺言を作成すると公証役場で安全に保管される事を知らなかったわけです。でも、どうして、信託銀行でその説明をしな かったのか(その方の場合、たまたまとは思いますが)・・・???ですね。

ちなみに、公正証書遺言は、沖縄で作っても、東京の公証役場から確認ができます。でも信託銀行は、関与した場所に限られるそうです。これは、結構、知られ ていない公正証書遺言のメリットだと思います。核家族の時代、親族はみんな別の場所に住んでいるのですから・・・・


預かった遺言書はどうするか?

たとえば、父から「おまえに預けておく」と言って、遺言書を渡されたのですが、遺言書って、父が亡くなったら、どうしたらいいのですか?

遺言書は、お父様(遺言者)が無くなったからと言って、すぐに開封しないで下さい。遺言書を預かった人は、相続の開始を知ったら、遅滞なく遺言者の住所地 を管轄する、家庭裁判所で検認の手続きをしなくてはいけません。4万円の罰金・・・なんて事にもなりかねません。公正証書遺言書以外の遺言書は、全て検認 が必要です。

では、封筒に入ったまま、封がされていなかった場合はどうなるでしょうか?封がしてなければ、中身を見るのは人の常・・・・この場合は検認の前に見ても、 特に問われる事はありません。おもしろいですね・・



遺言書の書き直しと注意点

遺言書は書き直す事ができます。遺言者の気持ちは変わる事もあり、認められて当然でしょう。

また、基本的には直近、言いかえると、最後に書いた遺言書が有効となりますので、気分が変われば、それに応じてどんどん、例えば毎年のように書いてもかま いません。

遺言は以前書いた内容のうち、今回新たに作成した部分と重なる部分が改訂されたとみなされる事になります。けれど、その境界線が曖昧であったり、相互に無 関係であれば、どちらの遺言書も有効となる場合があります。毎年書いても・・・と言っても、これは逆に混乱を招く事になります。

そのため、新たに遺言書を作成する場合は「○年○月○日作成の遺言書の全てを取り消します」又は「○年○月○日作成の遺言のうち、Aに100万円相続させ るとした部分を取り消します」など、一筆入れることが必要です。


相続人が居ない方の相続は

相続が発生しても相続人がいなければ、財産は国のものになります。これはご存知の方もいるかと思います。

では、相続人が居ないとはどういう事でしょうか?

まず、お子様が居ない。お子様がいれば、財産はお子様へ相続されます。

次に配偶者がいない。独身の場合もあるでしょうし、配偶者に先立たれる場合もあるでしょう。

次にご両親が居ない・・・高齢で先に他界する場合も考えられます。

そして、兄弟がいない。兄弟がいれば、兄弟で分ける事となります。

ご両親にはご兄弟がいますので、いわゆる従兄弟はいます。しかし、この場合の従兄弟は相続人とはなりません。

そんな方は珍しい・・・いえいえ、そんな事はありません。もっとも、困ったから私のようなものへ問い合わせがくるのでしょうが、何年かに一度はあります。

簡単に言えば、一人っ子の独身で両親が先に他界している・・・場合です。

一人っ子が、結婚という形を取らず、以前、ここで紹介したように、パートナーとして暮らす場合もあるでしょう。

パートナーと暮らすパターンはこれからは珍しくないでしょうし、数十年後には増えるかもしれませんね。

では、どうすれば良いでしょうか?

国に納めると結論つけるのも一つの方法ですが、お世話になった方(特にパートナー)がいれば、その方へ残す旨を書いた遺言書が一番適しています。


相続人が居ない方の相続は(続き)

前回の「相続人が居ない方の相続」で質問ありましたのでお答えします。

教科書的な話をしてもつまらないの具体的に書きます。たとえば、同居のパートナー(籍は入れていない)が、病気の看病をしたり、お葬式の費用など実際の費 用を負担されたとします。その時の費用は請求できる可能性(あくまで裁判所が決める事なので、可能性とします)があります。

方法は先ず最初に相続人が居ない事を証明するために、戸籍や住民票の徐票など集め、家庭裁判所へ「相続財産管理人の選任」を申請します。戸籍や徐票が必要 な理由は本当に相続人がおらず、さらに実際に死亡している事を証明するためです。

ここで相続人がいる事が判明したら、この申請は当然、できません。

申請し、財産管理人が選ばれると、一旦、財産はこの管理に属する事となり、パートナーは、この方へ、これこれの費用が必要だったから、という理由で請求す る形となります。

申請自体は難しくはありません。せいぜい、戸籍集めが面倒な程度。書面は相続財産管理人選任の申立書の記載例 を参照してください。裁判所のHPへリンク しています。私の事務所の仕事としては、書面を作成したり、戸籍など揃えてお客様はお渡しする事です。

そこまでは問題ないでしょう。申請・・・と言っても、裁判所から管理人として弁護士が紹介されるわけです・・が、問題はここからです。

全ての処理が終わるには1年半〜2年間は必要となります。 もちろん、これ以上かかるケースも多いと思います。

時間がかかる理由は財産を受け取るまでに、公告とう制度。公に知らしめる期間として2ヶ月・・・といった感じで何度も公告をする事に法律で決まっているか らです。

こういった制度がある事は大変ありがたいのですが、これだけの時間と労力をかけて・・・それなりの資産がないと、この制度はおいそれと使えないのも事実で すね。やはり、予防法務専門の私としては遺言書を書きましょうという事になります。


遺言執行人が必要なのに・・

公正証書遺言では多くの場合、遺言書の中身を実行する遺言執行人を定めます。

通常の相続であれば、たとえば相続人の誰かを定めてもいいでしょう。

特に相続が、もめそうな場合には遺言執行人として第三者を定める事を勧めています。

当然、それは友人でもいいのですが、行政書士など、法律の専門家が無難という事になります。

そして、当然の事ながら、費用も発生する。

ところが、執行人無しを希望するケースがあります。決して高いという理由ではなく、執行人は不要と判断するようです。無料ならよいが、1円でもお金を払う 価値はないという判断です。

たとえ、もめそうな相続であっても、居ないよりマシなので、相続人の誰かに執行人を依頼するように勧めても、相続人は「そんな面倒な事は嫌だ」と言い出す 始末。

もめそうなケースの場合、公証人の先生の中には、公正証書遺言を作成する理由は、相続をできるだけ、遺言者の意志通りに実行するために作成するのだから、 執行人を定めない遺言書なら作成する意味がない・・・とまでおっしゃる場合もあります。

たとえば相続が発生して銀行から預金を下ろす場合、執行人が居れば、その方が預金を下ろす事ができます。しかし、それを定めないと、預金を下ろす場合、相 続人全員の押印が求められます。そうなると、もめたケースでは押印する、しないで財産についてのもめ事が即発生するからです。遺言書の意味がありません。 極端な話、入院した際の費用としても引き出せないのですから。実際に執行人の経験を行えば、その便利がよく理解できます。

こういった事を何度も説明するのですが、「万が一の時まで預金は全部使うから大丈夫・・・・・」と反論されてしまい、次の言葉はもう出てきません。言いか えると、相続が発生するまで、全ての財産を使い果たすから大丈夫・・・(そうであるなら、公正証書遺言を作る意味はありませんね)。どうみても、執行人が 居ないと困るだろうな・・・と思いつつ・・・過去の事例、経験などを交えて、キチンと説明を行った上で、それでも遺言者の最終決定ならと自分なりに納得さ せるしかありません。


公正証書遺言の書き直しについて

自筆でも公正証書遺言でも、何度でも書き直せます。

心配なのが公正証書遺言の書き直しではないでしょうか?

自筆証書遺言は、当然、紙とペン・・・無料・・・にほぼ近いです。

公正証書遺言は作成の際に公証役場で、財産によって異なりますが だいたい、5〜20万円程度払っていると思います。ところで書き直しとなるとまた同じ金 額が必要・・・とはなりません。

変更する内容が前回と全く異なれば、別ですが、例えば長男へ500万円相続する予定が、次男へ500万円に変更・・・であれば、だいたい用紙代を入れても 1万5千円もあれば(証人を依頼した場合の手数料は必要ですが、自分の友人に頼めば不要)なんとかなりそうです。

余談ですが、遺言書を作成する場合、お墓を守ってくれる人、言いかえると「祭祀の主宰者の指定」があります。実はこれ、相続又は遺贈とは別個の法律行為で あり、更に目的価格が算定できないので、その手数料は1万1000円となり、追加費用となります。

・・・でも初めて読む人にとってはピンと来ませんよね。

実際、公証役場の手数料は慣れないと解りにくいと思います。手数料 の解説をするHPも見かける程です。そんな時は前回作成した公証役場へ直接問い合わてください。すぐに教えてくれますよ



第三者への遺贈は公正証書遺言で

内縁・事実婚と相続の補足としてタイトルについて書いておきます。

事実婚である事を親戚が理解していたとして、実際に相続が始まると、「自筆証書遺言」では、こころもとないようです。実際、親戚がその自筆証書を認めて も”無理にかかせたのでは・・・”とあらぬ事を考える方も出てきます。

そもそも、自筆証書遺言は検認という作業がはいり、手間がかかる上、時間もかかります。検認の間に相続不動産、つまり、自筆証書に書かれてる現在のお住ま いが、親戚の方から競売にかけられる事が起こります。

もちろん、売却を差し止める仮処分申請を出せばよいのでしょうが、保証金が必要となります。都内であれば、何百万円となります。もちろん、遺言書があるか ら裁判へもっていけば勝てるものと思われますが、実際には泣き寝入りではないでしょうか。

ところが公正証書があれば、そして、遺言執行人をパートナーにすると、親戚の意見を聞く必要もなく、お住まいの名義変更ができてしまいます。

つまり、第三者への相続(遺贈)は公正証書にして、執行人を決めておく事が大切です。

事実婚の場合、結果的いは第三者と同じ扱いですから、面倒ですが、必ず、公正証書遺言にしておく事をお奨めします。


内縁・事実婚と相続

普通の夫婦、但し、籍は入ってない夫婦は、意外と多いと感じています。第三者から見ると、どうして籍を入れないの?となるのだが、実際、そういった関係を 見ると、感じの良い夫婦が多いのも事実。

ところが、平均寿命的に男性が先に亡くなっても、パートナーが配偶者(籍を入れていない)でない以上、その女性は相続とは一切関係ない。自宅が男性名義だ と、当然、相続人(この場合、男性の兄弟、亡くなった兄弟がいれば、その子供)のものとなる。想い出の遺品があっても基本的には貰えない。相続人ではない からだ。

入籍していない以上、法的には内縁関係にすぎず、相続とは関係ない。もちろん、判例で認められたケースもあるが、例外と考えたほうが無難だ。相続財産は パートナーへは回ってこないと言って、ほぼ、間違いない。事実婚は法律には縛られない自由さがあるが、縛られない事は、相続では全く保護されない事となる

この場合、男性が「自分の全財産を○○に遺贈する」と書いた遺言書があれば、事態は一気に好転する。もちろん、この場合は特に公正証書遺言が望ましいが、 それでも、3分もあれば書ける。遺贈は相続税と同じ扱いになるので、税金の控除(基礎控除5千万円+1千万円×相続人の数)も大きい。

法律で縛られない事実婚を選ぶのは自由だが、そのパートナーの先を考えるのは入籍の有無に関係なく相手に対する思いやりであり、最低限の責任だと思う。遺 言書が1通あれば、財産についてパートナーを法律で守る事ができるのだから。



自筆証書遺言は手軽な分、問題も大きい

自筆証書遺言を完全に否定するわけではないが、問題点を具体的に解ってない例や曖昧な書籍を立ち読みしたので、参考に書いておきます。

そもそも自筆証書遺言は 1) 全文を自筆、2)日付を書く、3)最後の署名と押印

簡単そう・・・・けれど、こんな間違いがあるようです。

1)自筆とは言い換えると手書きの事。パソコンやワープロは自筆ではない

2)夫婦連名は無効。なぜなら共同遺言となるから。

3)不動産の表記が住居表示であり、登記簿謄本と異なる(以前、私が受けたケースでは、なんとか救済されましたが・・・)

4)読めない・・・・(個性ありますからね・・・)、意味不明・・・(曖昧な表現、例えば長男は多めに、次男は少なめに・・・)

いうまでもなく、1)〜4)がダメですよ。それから、これはルールとして決まっている事で、よく、「こんな事より、実際にビデオとかの、時代じゃないです か。これもいいはずですよね?」 聞かれます。これはダメなのです。

それから一般的な問題として

1. 家庭裁判所の検認が必要

これが極めつけに面倒。1)家庭裁判所への申立書:この書類には相続人全ての戸籍が必要 → 2) 後日、家庭裁判所へ相続人に対し呼び出し状が届く。: 実はこれも大変。相続人全員の住所を調べる必要がある。まさに、あの人は今、何処に・・・の話。1)と2)で半年かかった事もあります。→ 3)申立人が 自筆証書遺言を持参して検認を受ける。 ※この段階で遺言書の正当性が認められるだけで、これが相続による名義変更の際に使えるか否かは先ほどの不動産の 表記等、ハードルがある。

業務として、検認のサポートも実際に行っておりますが、公正証書は確かに費用がかかります。しかし、検認も負けない位の費用と時間がかかります。

余談ながら、残された相続人はかなりの負担となるので検認の結果、財産の行方が特定のAさんだけ・・・となれば、遺留分請求など、その後の問題に発展する ケースもあります。また、封をしたものを検認の前に開けると5万円の罰金です。開けるまで、解らない上、そもそも、遺言書としての体裁を整えていないと完 全に費用と時間の無駄という事になります。

2 遺言書の書換、隠匿があるかもしれない

3 紛失・・・これは起こりますね。

これだけの問題があります。

となれば、逆に自筆証書遺言がピッタリなケースは

1 相続がシンプル(相続人が一人だけ・・・など) 簡単なので検認もスムーズ

2 財産に不動産がない

3 収入を支える立場ではない(多くの場合、奥さま)

4 緊急を要していた

自筆証書遺言の書き方の本は書店にあふれていますが、これだけの事を理解して書きましょう。


検認の必要な自筆証書遺言と不要な公正証書遺言

遺言書作成についての相談があった。

相談といっても、目的は「自筆証書遺言のサンプル」を作ってくれというもの。

相談の中で何度も「残すような財産はないけれど、知らない人(事情あるので書きません)へ財産が渡ったり、会いたくもない。」という。

自筆証書遺言の場合、「検認」のため、家庭裁判所で相続人、つまりは知らない人に連絡を取って、この遺言書が正しいか否かの確認作業がある事を説明し、ま た、公正証書遺言の場合は、知らない人に知られる事なく、財産を特定の人へ残す事が出来る事を説明しました。

知らない人とは一切、関わりたく無いのであれば、公正証書になるが、公正証書にすると費用がかかる事を説明すると、「だから、自筆証書遺言にするから簡単 なサンプルを作ってくれ・・・」という。また、公正証書の場合は証人がいるので嫌だという。証人は公証役場でも揃えてくれる旨を伝えるも有料はダメらしい。
一方、自筆の場合、検認の際に知らない人が登場しても構わないと言う。

公的機関の無料相談で受けたもので、無料相談には意外と多いのだが、限られた時間であり、更に相談者にとっても全く知らない人間(私)に大事な話が出来ないのは 十分承知はしているが・・・何となくジレンマを感じる瞬間でもあります。

相談者へ簡単なサンプルを作成してお渡ししました。


相続はオーダーメイド

仕事で沢山の相続相談を行ってきました。

相続問題を解決するには方程式はありません。一人一人、問題の解答は違ってきます。つまり、相続の数だけ答えがあります。

にも関わらず、他人の事例(テレビや本を参考にして)を参考にして自分で解決しようとして、迷路にはまってしまうケースがあります。

そんな時、「相続の数だけ答えがあります」と説明すると、「いや、一般的には・・・」と質問され、「過去の事例では・・・」と説明をする。そんな話を30 分から1時間くらいすると、ようやく、一人一人違った対処がある事が解るようです。


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